光と友人の瞬間

 朝起きて、顔を洗う。歯ブラシがすぐに開いてしまうけど、あまりに早すぎて、いつも変えるタイミングが分からない。歯茎を強く磨いてしまうのは父の癖だ。
 気づいたら眠ってしまったようで、シンクには皿が溜まっていて間接照明もついたままだ。全てがやり残した状態になった部屋で、外の光だけが変化していた。光の爽やかさと、その光に照らされた昨夜の様子を見て、明日が今日になっているという事実に、意識がついていかない。

 積んでいた本をしばらく読んだ後、机に向かう。しかし、シンクの様子を見てしまったことで、今一つ集中しきれず、結局洗い物をする。ついでに、洗濯物を回す。家事を業務の隙間にやることは、気分転換になる。3時間ほど集中して進める。途中、洗濯物を干す。洗濯に関して効率的な方法が徐々に確立し、早く干せるようになってきた。

 

 昼前、ホットケーキを作る。賞味期限の切れた豆腐を発見し、それも生地に混ぜ込む。ホットケーキを作れるようになると、生活が安定してきた気がする、と言っていた友人に久々に連絡をする。即座に「最高の報告じゃん」と返事が来る。打てば響くようなテンポに、懐かしさを感じる。「こういうの、生活って感じがするよね。」と続けて送られてきた。

 昔、その友人とは、特に用事もなくても、なにかにつけて会い、話す必要もないどうでもいい話をした。偶然にも、友人が一人暮らしを始めたのもほとんど同時だった。モラトリアムを共に過ごした友人と、今は生活上のライフハックを話し合っている。人生は進む。友人を作るのも、友情を維持するのも難しい。しかし、生活の変化の中で、お互いに祝える友人は、空気を読まずいつだって連絡をしたい。忘れた頃でも、構わない。